2021年06月28日更新
日本各地に伝わる河童伝説。日本人にとって馴染みのある妖怪「河童」で商品開発や観光客誘致などで地域活性化を目指す取り組みが日本各地で行われています。そのひとつ、宮崎県都城市の取り組みは、河童伝説をもとに商品開発や環境保全活動を展開して地域活性化を目指すというユニークなもの。
活動団体「ガグレ」は河童をモチーフにした食品やオリジナルTシャツなどの商品開発を行いながら、「河童の住みやすい街づくり」を掲げて河川敷の清掃活動を実施し地域活性化に貢献しています。
PuckUp記事:「宮崎・都城で「かっぱの塩」開発 地元に伝わる河童伝説で地域貢献目指す」(ひなた宮崎経済新聞2021.05.19)
河童伝説で商品開発、観光客誘致を目指す 地域活性化への取り組み
(引用:都城島津邸HP 都城島津邸伝承館蔵「河童前之図・後之図」)
河童は、頭にお皿、手足に水かきのある子どもくらいの背丈の妖怪と言われています。河童伝説は日本各地にあり、岩手県遠野市のかっぱ淵や大分県雲八幡宮に伝わるかっぱ楽など、民話や祭事の形で伝えられてきました。また、文豪・芥川龍之介や日本画家・小川芋銭と言った多くの芸術家が河童を題材に作品を発表しています。
日本人にとって馴染みのある妖怪「河童」。河童で観光客の誘致を図った兵庫県福崎町の取り組みがSNSで話題になるなど、河童が地域活性化に貢献している先例もあり、河童伝説のある他の地域でも同様の試みが成功する見込みは十分ありそうです。
宮崎県都城市や隣接する三股町にもまた、河童伝説が伝わっています。島津忠久を始祖とする島津家の分家、都城島津家には「河童の手足」や「河童前之図・後之図」が代々伝えられており、今でも史料として所蔵されています。
都城市吉尾町の会社「ガグレ」では、その名(ガグレは都城地方の方言で「河童」の意)にちなんだユニークな地域活性化活動を展開しています。特に注目したいのは、河童を題材にした商品開発・販売だけでなく、水辺に住む河童との関係性から河川敷の清掃活動も実施している点。
河童Tシャツなどの商品販売にとどまらず、清掃活動で地域の環境保全に貢献している同社の活動は、妖怪のファン層だけでなく、地域住民を始めとする都城市を愛する層、そして河川などの自然環境の保護に関心のある層と、より多くの人の関心を引いている可能性があります。同社は河童商品を販売するだけでは訴求の難しい層からもファンになってもらえていることが予想されるのです。