2022年10月11日更新
PickUp記事:Hacobuの青果物の物流効率化に向けた実証実験、2年目は生産者と首都圏市場まで拡大(SMART AGRI 2022.09.06)
慢性的な人手不足や長時間労働等、トラックドライバーの負担が問題視されている物流業界の課題解決に向けて、株式会社Hacobuの物流DX支援アプリケーション群「MOVO」を活用した実証実験が、今年も実施されています。
そもそも、日本全国で生産される青果物の流通は、主にトラックドライバーによって支えられていますが、労働条件や少子高齢化の影響から、慢性的に人手が不足している状態です。
特に、秋田県から首都圏に向けたトラック輸送は、各集出荷拠点が距離的に離れていることから集荷に多くの時間が必要であり、トラックドライバー1人当たりの労働時間も増加していました。
これを受け、2021年11月に第1回目の実証試験が行われた際には、首都圏輸送向けのハブ拠点(中継点)を設置、集荷と幹線(長距離)の輸送を分離することで、長距離ドライバーの労働時間を約14%削減する成果が得られています。
2回目となる今回の実証実験は、生産者や首都圏の卸売市場、秋田県以外の県を含めた、より規模の大きい取り組みです。
トラック車両の経路や位置情報、運行時間等から最適なルート構築・実績管理をサポートできる「MOVO」を活用して、秋田県から首都圏向け青果物を輸送するトラックドライバーの負担を軽減、ひいては、秋田県農業の持続的発展に取り組む官民連携プロジェクトとなっており、本実験を通じて、同社は、青果サプライチェーン全体の最適化を目指しています。
(引用:令和3年度トラック輸送における取引環境・労働時間改善 秋田県協議会「首都圏向けの青果物輸送に係る実証実験」報告書より図8:実証実験の概要)
「首都圏向け青果物の物流効率化実証実験」は、トラックドライバーの人手不足等、青果物流通の課題解決ならびに、秋田県の農業の未来を守ることを目指して実施されています。(詳細については、「令和3年度首都圏向け青果物輸送に係る実証実験 報告書」https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/at/docs/trans/truck2022_03/date2-2.pdf)
トラックドライバーの人手不足の原因のひとつとされている長時間労働は、物流業界全体の課題ですが、その要因は、長距離輸送のような運送会社側によるものだけではありません。
荷主側の要因で発生する手待ち時間等もまた、トラックドライバーの長時間労働を助長しています。
このほかにも、少子高齢化の影響などから、トラックドライバーの人手不足は、慢性化・深刻化するばかりです。
特に、地方~首都圏の長距離輸送での長時間労働は問題とされており、中でも秋田県の首都圏向け青果物輸送では、
・秋田県内の各JA集出荷拠点間の距離が長いため、集荷に時間がかかる
・納品先の首都圏卸売市場までの走行距離が600kmを超える
などから、ドライバーの1日拘束時間が長時間化しやすくなっています。
このようなトラック物流の状況を鑑みて、2024年4月から働き方改革関連法が施行され、トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が実施される予定です。
一方で、関連法が施行された場合、長時間労働に頼った現行の輸配送体制の維持は困難となるため、首都圏向けの青果を運べなくなることが懸念されています。
そのため、ドライバーの長時間労働に頼らず、かつ、トラックドライバーの人手不足がさらに深刻化しても、現在の物流を維持できるよう、業務効率化や労働時間短縮化の方策が模索されてきました。
このような背景から、前回の実証実験では、物流課題として、次の3つを取り上げています。